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コロナと共に生きる介護、3年目の夏に思うこと 〜“慣れ”と“緩み”のあいだで〜

2025.7.25  コラム

こんにちは、広報担当トン吉です。

今年は6月から夏のような暑さが続き、まだ体が暑さに慣れてないうちに本格的な夏を迎えることになりました。気温が上がり、陽射しが強くなるこの季節。介護の現場では、毎年少しざわついた空気が流れます。「今年もまたコロナ、増えてきたね」——そんな会話が、スタッフのあいだで交わされるのが夏の風物詩のようになってしまいました。

夏と冬は、空調で温度調整するためにどうしても換気が疎かになってしまい全国的にコロナが蔓延する季節になっています。

思い返せば、コロナと向き合うようになってから、もう3度目の夏です。初めての流行のときには、情報が少なく、不安ばかりが先に立ちましたよね。面会を控え、イベントも中止し、職員も緊張感の中で日々を送っていました。コロナが原因で亡くなる方も多くいらっしゃいましたし、辛い経験となりました。

あれから数年。ワクチンの接種も進み、社会全体の空気も「共存」にシフトしています。ですが、高齢者を支える現場では、“慣れ”が“緩み”にならないよう、あらためて気を引き締める夏でもあります。

昨年の夏もコロナが流行し、多くの感染者が発生しました。現場では最近、桜新町アーバンクリニックの外来で新型コロナの感染者が確認された場合、迅速に情報を共有し、注意喚起を行う体制を整えました。小さなことでも「皆で共有する」ことが、感染拡大の防止につながると感じています。 

   

まずは基本的な感染対策——手洗い、換気、マスクの着脱判断、口腔ケアや食事介助時のゴーグル、エプロン、グローブの着用、体調不良時の連絡——それぞれが「当たり前」になったからこそ、形だけにならず意味を見失わないようにしたいものです。ナースケア・リビングでもデイサービスのご利用者様にはご自宅での検温を予め実施していただき異常がないかなど体調確認をお願いしており、感冒症状のある方においては事前にアナウンスしていただく様にしています。「ゼロリスクを目指す」のではなく、「無理なく続けられる備え」を整えること。それが、コロナと付き合ううえでの現実的なバランスではないでしょうか。

そして、この夏に気をつけるべきはコロナだけではありません。

湿度と気温が上がるこの季節は、感染性胃腸炎や食中毒などのリスクも高まります。ノロウイルスやロタウイルスは冬のものと思われがちですが、食中毒を含む腸炎の発生は夏場にも多く、油断は禁物です。特に施設や在宅介護の場では、食事や排泄の介助を通して感染が広がることも少なくありません。

また、夏風邪と呼ばれるウイルス感染症(RSウイルス、アデノウイルスなど)にも注意が必要です。若い人にとっては軽症でも、高齢者にとっては重症化のリスクがあり、誤嚥性肺炎などを引き起こすこともあります。

感染症対策に特別なことは必要ありません。手洗いを丁寧に行うこと、食品の管理を徹底すること、体調不良があれば無理をしないこと。それぞれが小さなことですが、続けることで感染の広がりを抑えることができます。

介護の現場において、完璧な予防策を講じることは難しいかもしれません。けれど、「いつものことだから」と流してしまわず、「去年こうだったから、今年はこうしよう」と経験を積み重ねていくことが、現場を守る力になるのだと感じています。

この夏も、皆が少しでも穏やかに、安全に過ごせるように。感染症の心配ばかりが先に立たないように。必要な注意は払いながら、生活の楽しみも大切にしていきたい——そう願いながら、3度目の“コロナと共にある夏”を迎えようとしています。

ご相談・お問い合わせ 03-6411-6422